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    自己決定理論で考えるサッカー 6段階のモチベーションレベル


    「子供が練習に集中してない」、「やる気がない」と感じたことは指導者なら必ず経験があると思います。そして、昔から馴染みのある「やる気を出せ」、「集中しろ」などという曖昧なセリフを使ってしまいがちです。しかし、残念ながらそれだけで選手のやる気スイッチを入れる『魔法のコトバ』は存在しません。そして、選手のモチベーションが低いと感じる場合は、選手自身ではなく指導者の方に問題があることが多いです。
    自分の練習の何が悪かったのかを明確にするには、まずモチベーションとは何かを理解する必要があります。
    そこで、スポーツに限らず人間のモチベーション向上をさせるための方法を心理学的アプローチで定義した自己決定理論に注目してみましょう。

    2種類のモチベーション

    「自己決定理論」は、アメリカ人のエドワード・L・デシ氏とリチャード・ライアン氏により提唱されたモチベーション理論です。正しい方法でモチベーションを高めると、意思決定・独創力・メンタルヘルス・パフォーマンスの面などでいい影響を与えると言われています。

    その理論の中で、人が何かに対してやる気を起こすモチベーションを以下の2つに分類しています。
    ・内発的モチベーション
    ・外発的モチベーション


    「内発的モチベーション」
    興味や好奇心などによって自然と湧き上がってくるモチベーション。

    「外発的モチベーション」
    目的達成、他者の評価、ご褒美を得るためなどの自分自身以外の物や人に起因したモチベーション。

    6段階あるモチベーションレベル

    さらに、『自己決定理論』では、モチベーションをその要因により6段階に分けています。

    内発的モチベーション
    ・内発的動機づけ
    好奇心などによって自ら進んで行為をする状態
    例:サッカーが好きで自ら練習を行なう

    外発的モチベーション
    ・統合的調整
    ある行為をすること自体が自然になっている状態
    例:練習すること自体にやりがいを感じている状態

    ・同一化的調整
    目的・目標のために行為をする状態
    例:レギュラーを取るために一生懸命練習している状態

    ・取り入れ的調整
    周囲の評価や競争心から行為をする状態
    例:親やコーチに褒めてもらいたくて練習をしている状態

    ・外的調整
    報酬を得るため、または罰をさけるために行為をする状態
    例:コーチに怒られないように練習をしている状態

    零モチベーション
    ・動機なし
    モチベーションがなく、言われない限り行おうとしない状態
    例:親に言われたから練習に参加している状態


    下から上に向かってモチベーションが高い状態とされています。ただし、動機の根源が異なるため、内発的動機づけのみが「内発的モチベーション」とされており、外発的モチベーションとしては「統合的調整」の段階が最高の状態とされています。

    これが「自己決定理論」による「モチベーション」の正体になります。
    下から上に向かってモチベーションが高い状態とされています。ただし、動機の根源が異なるため、内発的動機づけのみが「内発的モチベーション」とされており、外発的モチベーションとしては「統合的調整」の段階が最高の状態とされています。

    これが「自己決定理論」による「モチベーション」の正体になります。

    サッカーの指導と自己決定理論におけるモチベーション

    実際の指導では、特に小学生年代だと罰ゲームやご褒美などの「外的調整」、チーム対抗戦や勝負を煽るコーチングなどによる「取り入れ的調整」を利用することが多いのではないでしょうか。これらの方法は零モチベーションの選手にモチベーションを与えるためにはとても有効であり、小学生年代を指導する上では特に必要とされます。

    しかし、注意しなければいけないのは、「外的調整」と「取り入れ的調整」の段階だと自主的に練習を行なうにはいたりません。そのため、「やる気のない」状態から「外的調整」、「取り入れ的調整」段階に来たら、さらに次の段階に引き上げることが重要になります。
    どういったモチベーションであっても、練習に積極的に参加するようになれば上達していくはずです。そうするとよりサッカーが楽しくなり、そこで何か目標が見つけることができれば、「同一化的調整」の段階に到達します。

    そして、この理論の興味深いところは、目標に向かって練習している段階では不十分だと言うことです。確かに、目標達成がモチベーションの場合、その目標に到達してしまった場合や、到達が難しいと感じてしまうとモチベーションがなくなってしまう恐れがあります。それを避けるためには、練習すること自体が楽しくなったり、習慣化することが重要です。それと同時に目標を意識過ぎていると、「統合的調整」段階にまで引き上げることが難しくなります。
    一度、「統合的調整」段階までたどり着くととモチベーションが下がることがなくなり、継続的な持続可能なモチベーションになると言われています。


    普段、よく使う「やる気」という言葉も心理学の力を借りると、とてもはっきりするものになります。
    「自己決定理論」を参考に、どの選手がどの段階に該当するかを考えてみると、自分の練習メニューの問題点や、選手個人へのアプローチ方法が見えてくるでしょう。

    執筆者

    大野元春

    1987年生まれ、千葉県八街市出身。イングランドでコーチングライセンスを取得した後、現在はオーストラリアのナショナルプレミアリーグのMonaro Panthers FCでU18の監督を務める。オーストラリアサッカー協会Bライセンス取得中。http://blog.mottofoot.com


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