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    【心理学】子供たちが練習に没頭するための技術「フローとは!?」


     前回のコラムでは,「自己決定の程度がモチベーションに影響する」という記事を書かせていただきました。
    https://www.sharetr-soccer.com/articles/view/21

    今回は,子供たちが「没頭」して練習に取り組むための情報をご紹介します。

    「フロー」とは?

    皆さんも,目の前の活動に完全に集中し,周りのことが一切気にならず,時間があっという間に過ぎてしまう感覚を感じたことがあるのではないでしょうか。
    まさに,物事に「没頭」している状態です。

    心理学では,この「没頭」している状態のことを「フロー(flow)」と言います(Csikszentmihalyi, 1990)。一般的には,‘ゾーンに入った’というような表現をされるかもしれません。

    このように,フローは,‘高い集中力を持って活動に没頭している楽しい経験’ということができます(浅川, 2012)。

    フローの状態で試合や練習に取り組むことができれば,高いパフォーマンス発揮が期待できるだけでなく,スキルの習得が早くなるという利点があり,スポーツ活動を行う上でまさに理想的な状態となります。
    では,どのような工夫をすることで,フローを引き起こすことができるのでしょうか。

    フローを生み出す条件とは?!

    フローを生み出すための条件として以下の3つが挙げられています。

    1.課題の難易度と能力のバランスが取れていること

    2.活動の目的が明確であること

    3.フィードバックが即座に得られること



     

    「1.課題の難易度と能力のバランスが取れていること」は,非常に重要な要素となります。




    それぞれの子供が持っている能力やスキルに対して,課題が簡単すぎると退屈していまい練習に集中することはできません。一方,難しすぎると,不安や無力感が大きくなってしまいます。

    各自のスキルと難易度のバランスがうまくとれた,挑戦的な課題を設定してあげることで,子供たちは楽しみながらその練習に没頭することができます(図)。
    確かに,多くの子供たちを一度に指導しなければならない場面では,一人一人に合わせた難易度の課題を設定することは難しいことだと思います。

    しかし,同じ練習メニューでもいくつかの難易度の課題を作り,一つの課題が達成できた子には,どんどん難しい課題に挑戦させてあげることで,飽きることなく練習に取り組むようになります。

    例えば,ドリブル練習では,利き足でのドリブル,逆足でのドリブル,両足を交互に使う,制限時間を設ける,など,徐々に難しい課題に挑戦させてあげると良いと思います。

    どのような練習メニューをやるにせよ,その内容が子供たちにとって適切な難易度になっているか,ぜひ確認してみてください。

    続いて,「2.活動の目的が明確であること」が大切です。




    これは‘良いプレー’の定義を明確にしてあげることだと言えるかもしれません。子供たちが練習の意図を十分に理解していることはもちろん重要ですが,それだけでなく,対面パスのような基礎練習でも,足のどの部分で,どのような強さのパスを出すのか,どのようなタッチで,どのような位置にトラップすることが良いのか,などを明確に提示してあげることで,子供たちが目指すべきプレーがわかりやすく,その練習により集中しやすくなります。

    最後に,「3.フィードバックが即座に得られること」が重要です。



    子供たちはシュート練習が大好きだと思いますが,それは,自分のプレー(シュート)に対して,入った,入らなかった,という結果のフィードバックが即座に得られるからです。

    シュート練習やパス練習のように,成功・失敗のフィードバックがわかりやすいものは良いですが,ポジショニングや動き出しなど,成功・失敗の結果がわかりにくいものに対しては,指導者から積極的にフィードバックをしてあげると良いかもしれません。ここでのポイントは,「即座に」フィードバックを与えることです。

    練習が終わった後に,「さっきの動きよかったぞ」ではなく,なるべく,プレーの直後に声をかけてあげてください。


    フローを引き出すための3つの条件を紹介してきましたが,この3つの条件を非常にうまく活用し,子供だけでなく大人にも大人気のものがあります。

    それは,コンピュータゲームです。



    特にRPG系のゲームでは,敵の強さが非常にうまく設定されており,主人公の成長に合わせて,なんとか頑張れば倒せるようになっています。また,ゲームのストーリーには,世界を救う,囚われた姫を救うなど,明確な目的があり,ゲームを進めるごとに,レベルアップする,技を覚える,新しいステージに進むなど,即座にフィードバックが得られるような仕組みになっています。

    子供たちがゲームに夢中になるように,サッカーにも夢中になってもらいたいですね。

    執筆者

    稲垣和希(いながき かずき)

    1990年生まれ、静岡県静岡市出身。筑波大学 蹴球部OB
    現在は,筑波大学大学院博士後期課程でスポーツ心理学を専攻。
    筑波大学蹴球部 パフォーマンス局メンタル班のアドバイザーを務める。


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