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サッカーに欠かせないウォーミングアップを楽しさから考える
サッカーに限った話ではありませんが、スポーツであればウォーミングアップは当たり前のように行うと思います。
ただ、サッカーは特に競技時間が長く、しかも、激しいプレーもありますので、そのウォーミングアップは重要なものになります。
今回はこのウォーミングアップをただの事前運動の域に留めることなく、より楽しい気分で行えるようにするには、どうしたら良いのかを考えていきましょう。
そもそものウォーミングアップの大きな目的の1つは、誰しも理解していることではありますが、けがの予防です。
そして、その手段は字のごとくですが、体、つまり、筋肉を温めることにあります。
筋肉の温度、筋温を温めることによる効果は、まず、筋肉が柔らかくなり、関節の可動域が広がります。
また、筋温が上昇することで血流の循環が良くなり、酸素を取り入れやすくなります。
脳からの神経伝達速度も速くなり、筋肉を動かしやすくなります。
それらが複合的に関わりあって、けがの予防につながってくのですね。
それでは、ウォーミングアップの目的はけがの予防だけでしょうか。
もちろん、けがの予防が非常に重要なことは言うまでもありません。
しかし、けがの予防だけがウォーミングアップなら、毎回、シンプルに素早く同じことの繰り返しになります。
育成年代のサッカー選手にとって、本当に良いウォーミングアップとは、単純な繰り返しになってはいけません。
毎日のトレーニングの前にウォーミングアップをすることをルーティンとすることは良いですが、その内容がルーティン化されてはいけないのです。
トレーニングの前に必ず、行うことですから、育成年代の選手に飽きさせないような内容でなくてはいけません。
つまり、サッカーのウォーミングアップは楽しいことであるのが重要なものになってきます。
そして、楽しくウォーミングアップをしていたら、結果的にけがの予防につながり、しかも、これから始まるサッカーのトレーニングの準備になっていることがベストなのです。
サッカーの楽しいウォーミングアップと言えば、ずばり、鬼ごっこです。
代表的な外遊びの1つですが、遊びということで、まず、嫌いな子どもはいません。(例外は後述します。)
講習会で初めて会う大人同士でも、アイスブレイクとして鬼ごっこを取り入れれば、一気に雰囲気が良くなります。
鬼ごっこには、サッカーに必要な様々な要素が詰め込まれています。
ダッシュ、ストップ、ターン、バックステップなど色々な動きが自然と入ってきます。
鬼やスペース、ルール上、鬼にならないように、タッチされないように、必要なものを同時に観なくてはいけません。
それがサッカーに必要な有効な視野の確保につながってきます。
仲間と協力して逃げる、追いかけるといったワークも出ますし、駆け引きも大切になってきます。
何より大事なことは、これらが特殊な道具や場所を必要とせず、そして、楽しいということです。
育成年代、特にキッズ年代では取り入れない手はないでしょう。
遊びながら楽しくサッカーのウォーミングアップになる鬼ごっこですが、注意しなくてはいけないことがあります。
まずは周囲の安全とスペースの確保です。
選手は楽しさのあまりに夢中になって走り回るので、狭すぎると選手同士が頻繁にぶつかることになります。
目の前の選手と採用する鬼ごっこのルールに合わせた十分なスペースを確保してあげてください。
周囲に危険な障害物やくぼみなどがないかの確認もあらかじめしておくことは重要です。
次に、ごく稀に鬼ごっこにアレルギーを持つ選手がいるということです。
特にキッズ年代でもU-6年代の子どもになると、鬼に追いかけられることに抵抗があり、参加しなかったり、泣き出してしまう子もいます。
この子たちを無理やり鬼ごっこに入れることは、逆効果になってしまうので、タイミングをみて参加させてあげましょう。
追いかけることだけできる子は、鬼だけの参加からでもOKです。
ここまでは鬼ごっこを活用して、楽しみながらけがの予防をするためにウォーミングアップを考えてきました。
それでは、育成年代でも小学生高学年や中学生のウォーミングアップはどうでしょうか。
(もちろん、鬼ごっこは有効です。)
ここでウォーミングアップの目的を別の側面から考えていきましょう。
運動により、心拍数が上昇することで脳内物質のアドレナリンが分泌されます。
これにより目の前にことに対してモチベーションが高まり、より集中力が増します。
ゾーンと言われる境地に入っていくにも、このアドレナリンが鍵のようですね。
集中と緊張がバランスよくなれば、普段のトレーニングの効果も発揮しやすく、ゲーム前のイメージ作りもスムーズにいくことになるでしょう。
つまり、サッカーのウォーミングアップの効果は、心理的な側面も非常に重要だということです。
そして、この「楽しい」という心理的な感覚をレベルアップさせましょう。
サッカーのトレーニング、またはゲームにはテーマがあるはずです。
高学年以上の育成年代のウォーミングアップには、ぜひ、そのテーマにアプローチしたウォーミングを採用してください。
例えば、その日のテーマがシュートであれば、けがの予防としての鬼ごっこに、ボール当て鬼ごっこ(逃げる選手に鬼がタッチの代わりにボールを当てる)を行います。
ここでは難しい技術(キック)の構成要素の指導には入らず、ひたすら楽しさに重点を置くのが良いでしょう。
そして、トレーニングの1番目に、シュートドリルを行います。
ここで大事なことが指導者の働きかけ、声掛けです。
ポジティブな声掛けを多くし、選手がすぐに改善できるアドバイスに終始すれば、選手の心理的なウォーミングアップも進みます。
「今日はシュートがうまくなれる日だ!」というようなワクワクを選手が感じてくれれば、その日のトレーニングも楽しくできるはずです。
「つかみはOK」という言葉ではありませんが、ウォーミングアップで選手がワクワク感という楽しさを持つことが非常に重要なポイントです。
ウォーミングアップの目的とは=けがの予防が大きな目的の1つ。
サッカーの育成年代の理想的なウォーミングアップとは=楽しいこと!
サッカーの楽しいウォーミングアップにオススメなものとは=鬼ごっこ。
鬼ごっこの注意点=安全と子どもの好き嫌いに注意。
楽しさの種類をレベルアップ?=心理的な側面も非常に重要。
期待感を持ってゲーム、トレーニングに挑む=ワクワク感を大切に。
サッカーの ウォーミングアップで大切なことはけがの予防ですが、忘れてはいけないことは、サッカーも子どもにとっては遊びであり、楽しいからやっているということです。
我々、大人が子どもの時の外遊びの前に、例えば、鬼ごっこの前にブラジル体操やストレッチなどのアップをしたでしょうか。
そんな遊びをする子どもはいません。
子どもたちが楽しいと思えることこそ、最高のウォーミングアップになることを大切にしましょう。
執筆者
シェアトレ運営部
シェアトレを運営している筑波大学のメンバーです。日々指導者のために勉強中です
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