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    現代サッカーでの1対1の再考 本当に「個の力」は必要か?


    日本と世界のトップレベルとの差の話になると必ず挙げられるのが「個の力」です。
    代表選手などがどういった意味合いで使っているかは定かではありませんが、「個の力」と言うと「1対1の強さ」を意味すると考えるのが普通かと思います。
    それでは、「1対1の強さ」とはどういったことでしょうか?
    攻撃であれば、ドリブルなどで状況を打破する能力。守備であれば、相手からボールを奪い取る能力。などがあげられます。

    そして、そういった議論が行われていると指導レベルの問題として、「攻撃時に1対1で仕掛けることをもっと奨励するべきだ」、「守備時にもっと積極的にボールを奪いに行かせるべきだ」といったことが挙げられます。

    しかし、ここオーストラリアでは、まさに日本とは逆に選手はどんどんドリブルで仕掛け、守備では抜かれることを恐れずに積極的にボールを奪いにいきます。
    その結果、ディフェンスのレベルが低くなり、アタッカーは低いレベルのディフェンダーを相手にしか抜けなくなってしまっています。

    私はオーストラリアの育成レベルでの一番の問題は「ディフェンスの質の低さ」だと考えており、実際に日本で指導していた際は「1対1のディフェンスでも、奪えるときは積極的に奪いにいけ」と言っていたのですが、オーストラリアでは「飛び込むな」という指導に変わりました。

    そんな、日本とオーストラリアで大きく違いのある1対1の考え方について、私なりの考えを紹介させていただきます。

    ちなみに、今回はあくまで現在担当しているU18、および去年指導していたU15のカテゴリーの選手についての話とご理解ください。

    上のレベルでも通用するのか?

    海外でプレーしている選手の話として、「ヨーロッパでは1対1に勝つことを強く求められる」という話をよく聞きます。
    私はイギリスにいた際は、指導の現場にいたわけではないので、実際にどういった指導を行っているかは知りませんが、自分のサッカー哲学をもとに改めて考えてみたいと思います。

    私が現在指導しているチームも、将来指導するであろうチームも世界のトップレベルのチームではありません。そのため、指導する上で常に念頭に置いており、選手にも意識させているのは「どうやって上のレベルの選手・チームを倒すのか」ということです。
    その点を踏まえて考えると、「1対1で勝ちに行く」というのは賢い選択肢とは思いません。
    15歳、18歳でどんな相手でもドリブルで抜けたり、ボールを奪えたりするレベルの選手は既に高いレベルのチームに所属しているはずです。特にオーストラリアのサッカーコミュニティは狭いのでそういった情報はすぐに共有されます。

    上のレベルでも通用するのか?
    組織サッカーにおける1対1の目的とは

    現代サッカーでは、ボールホルダーに与えられるスペースも時間もどんどん少なくなっています。
    言い換えると、1対1となる時間自体が少なくなっていると言えます。
    そういった現状を踏まえた上で、「1対1の重要性」についてもう一度考えてみましょう。

    オフェンス・ディフェンスどちらにおいても、「1対1」よりも「2対1」の方が有利なことは説明するまでもないでしょう。
    実際、多くのチームでは数的優位を作るために、攻撃であればサポートプレーだったり、守備であればプレッシングだったりを追求しています。
    となると、「1対1」は望んでいないシチュエーションということになります。
    そういったことを考えると1対1の目的は「数的優位を作るための時間稼ぎ」であるべきです。
    もちろん、ゴール前で相手を抜けばシュートを打てる状況などの「意図して作った1対1」は該当しませんが、それ以外の状況では「1対1で勝つこと」の重要性は高くないと私は考えます。
    もちろん、物凄い才能を持った選手で、その選手の「個の力」に託すというのであれば戦術が異なるとは思いますが、少なくとも私のチームでそのレベルの選手がいればAリーグかヨーロッパのユースチームに移籍することを勧めます。そうでないのであれば、上のレベルにステップアップしたのであれば、「チームに貢献できる個の力」を身につける必要があります。

    先を見据えた選択を

    高校サッカー選手権に出るような選手はJリーグや大学サッカーを意識し、Jリーガーはヨーロッパを意識し、ヨーロッパでプレーする選手はビッグクラブを目標とするようにサッカーは本当に巨大なピラミッドで世界とつながっています。
    その巨大なピラミッドで考えると、本当に「個の力」で勝負できる選手はどれだけいるのでしょうか。
    そして、戦術が進化し、チームの組織性が飛躍的に高まっている現代サッカーで、「個の力」の持つ重要性はどれだけ占めるのでしょうか。

    サッカーにおいて「1対1」が重要でないというのではなく、「1対1」のシチュエーションでの目的が変わってきているのではないかと私は考えます。

    私は自分の指導者としての将来を考える中では、「飛び抜けた選手なしにどうやって上のレベルのチームに勝つことができるのか」、「飛び抜けた才能を持っていない選手をどうやって上のレベルでプレーをさせるのか」ということを前提に戦略を構築していますので、今回のような結論に達しました。

    指導者の方のサッカー哲学はもちろん、選手やチームの目的によっても考え方は大きく異なるので反対意見も多いかとは思いますが、答えがないサッカーの奥深さと捉えていただけると幸いです。

    執筆者

    大野元春

    1987年生まれ、千葉県八街市出身。イングランドでコーチングライセンスを取得した後、現在はオーストラリアのナショナルプレミアリーグのMonaro Panthers FCでU18の監督を務める。オーストラリアサッカー協会Bライセンス取得中。http://blog.mottofoot.com
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