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    サッカーの試合でもっとも多用するインサイドキックを熟知しよう!


    コラムの内容

    サッカーは漢字で表すと蹴球と書きます。まさに「球を蹴る」ですね。フットボール(=Football)も「足のボール」と書きますが、サッカーのインプレー中のほとんどの動作は蹴ること、つまり、キックになります。守備がメインのイメージがあるGKですら、その半分以上のプレーが攻撃になり、今やパス&コントロールができるのが当たり前になっています。今回は、このキックに注目してみたいと思います。(ボールを運ぶ、飛ばすという意味ではヘディングも該当しますが、今回はキックがテーマなので割愛させて頂きます。)
    まずはデータを観てみましょう。ここでは1つ古いワールドカップになりますが、2014年ブラジル大会を中心に記録を引用します。(2018年のテクニカルレポートはまだ一般用には発売されていないようです。特に表記がない場合は2014年ブラジル大会の記録です。)大会全般の1試合のパス平均本数は395.7(2010年353本)でした。実に1試合400本近いパスが行われていた、つまり、キックされていたことになります。また、総得点は171ゴールで、オープンプレーからは133点、セットプレーからは38点でした。この中には不運なオウンゴールや割愛するヘディングでのゴールも含まれますが、まさにシュートやスルーパス、セットプレーというフィニッシュのシーンは、色々なキックの種類が使用されている場面になります。(スローインからのゴールは0ゼロでした。)ちなみに、日本のシュートに関するデータを観ると、3試合で46本、1試合平均にすると6.57本のシュートを打っています。ここからキックの精度という話題に入ると、オンターゲット、ゴールの枠をとらえたのは28本で、オンターゲット率は60.9%でした。この大会の優勝国のドイツは1試合平均14本のシュートを打ち、オンターゲット率は72.4%と出場国で1位でした。少し古いデータになりますが、2002年の日韓ワールドカップでは、インサイドキックによるゴールは51点で、全体の31.7%になっています。(2006ドイツ大会では30点の20.4%でした)キック動作のメインとなるプレー、パスに目を向けると、日本の3試合のパス総数は1633本で、1試合平均は544.3本、そのパスの成功率は78%でした。同じくドイツに目を向けると、7試合で5084本、1試合平均726.3本、成功率は82%でした。この数字は、各国試合数がそれぞれ異なるので、平均本数と成功率だけ比較しますが、1試合平均の本数は1位、1試合のパスの平均成功率も1位、パス成功率はイタリア(1試合平均のパス本数が少ない)の85%に次いで2位の82%でした。もちろん、数字だけでは測れないものがサッカーにはあります。引いて守ってカウンターのチームは、必然的にボールを持つ時間が少ないので、パスやシュートの本数は減ります。しかし、勝とうとするにはその精度は必須になります。パス、シュートの精度が高くないと、上位にはいけない
    試合でもっとも使用頻度の高いキックとは?
    試合中にもっとも多く使われるキックの種類と言えば、インサイドキックでしょう。足の内側でボールをとらえ、目標に向かって足を送り出すようにしてキックします。メリットは、ずばり正確なキックができることです。インステップキックのように、足の甲の隆起した点ではなく、足の内側の広い面でボールをとらえる為、もっとも正確に蹴れるキックです。同じ理由からボールをコントロールする(止める)時もインサイドを使用することが多いので、そのままの流れでキックができるのも特徴です。反面、股関節を開いて蹴るため、遠くに飛ばしたり、強いボールを蹴るには不利だとされています。しかも、動作の形や素早い動作が難しいことから、相手にパスコース、シュートコースを読まれやすいというデメリットもあります。以上から使用の場面としては、短いパスをつなぐ時や比較的近いところから正確なシュートでコースを狙う時などに多用します。先にデータを引用しましたが、このほとんどがインサイドキックによるものになります。
    インサイドキックに関する注意点とは?
    インサイドキックは試合中にもっとも使用するキックであることから、低学年を含む育成年代から練習内容に取り入れられていることが多いと思います。しかし、先ほども書きましたが、インサイドキックは股関節を開いて足を振るという動作になります。この股関節を開いて足を動かすというのは、通常の生活している時にはあまり起こらない関節の動きになります。ですので、未就学児や幼稚園児、小学校1、2年生には難しい動作になります。中学年や高学年であっても、サッカーを始めたばかりの子どもたちには難しいかも知れません。中学生でも初心者であれば、最初は不慣れな動作にストレスを覚えるはずです。インサイドキックの練習を行うことが悪い訳ではありませんが、それ以上に、片足立ちになって、足を思い切り振る(=バランスの養成)、ボールをキックする爽快感を覚える等、年齢が低ければ、大切なことが他にもあることを忘れないようにすることが重要になるでしょう。
    まとめ
    1. まずはデータを観てみましょう=精度が大切で強いチームは数も質も高い
    2. 試合でもっとも使用頻度の高いキックとは?=インサイドキック
    3. インサイドキックに関する注意点とは?= 練習の開始するタイミング

    最後に、インサイドキックを含めて、キックと言うのはサッカーの目的ではありません。
    サッカーの目的はあくまでもゴールを奪い合い、ボールを奪い合うことに他なりません。
    キックはそのための道具にすぎないことを覚えておきましょう。つまり、インサイドであろうと、つま先で蹴ろうとも、ゴールのボールが入れば得点ですし、味方に繋がればパスなのです。走り方にも個性があるように、キックにも個性が出ます。キックの目的を達成しているのに、フォームの修正ばかり指導するのは本末転倒ですね。

    執筆者

    シェアトレ運営部

    シェアトレを運営している筑波大学のメンバーです。日々指導者のために勉強中です


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