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    現代サッカーのトレーニング理論では基礎練習が時代遅れ?


    日本の国民性として何事においても基礎を大事にする傾向があります。
    一般企業であれば、新入社員は雑務をこなしながら実務に必要なことを学び、スポーツの世界であれば、野球の素振り、バスケットボールのボールハンドリングなど全体練習に参加できるようになるまでに多くの基礎練習をこなすことが当たり前でした。
    サッカーでも小学生や中学高校の下級生は、走り込みや声出し、2人組でのパス練習、コーンを置いたドリブル練習など多くの基礎練習をこなすことが日常でした。

    しかし、時代とともに練習方法も進化し、非合理的な練習は排除され、最新のコーチング理論に基づいた指導が行われるようになってきました。
    その結果、特にここオーストラリアでは基礎練習自体が非合理的だとみなされ敬遠されつつあります。
    そこで今回は現代のコーチング理論と照らし合わせつつ、基礎練習の在り方について考えてみたいと思います。

    ちなみに今回は、二人組のパス交換、コーンを置いたドリブル、ワンツーからのシュート練習などの判断を必要としない、ある一つの動作にのみフォーカスを当てた練習を「基礎練習」と定義させていただきます。

    ホリスティック・アプローチ?PDE?現代のトレーニング方法のポイントとは

    昔ながらの基礎練習の話をする前に、まずは現在のトレーニングの特徴について簡単に紹介させていただきます。
    私がコーチング理論を学んでいるのはオーストラリアですが、イングランド人である講師の方も言っていましたが、情報社会の現代では世界中どこもトレーニング理論はほとんど変わらないと言われています。

    現在のトレーニング方法の一番の特徴は「ホリスティック・アプローチ(Holistic approach)」です。日本のコーチングコースではどういった単語を使用しているのか把握していないのですが、直訳すると「全体論的アプローチ」です。
    基礎練習のようにサッカーの一部分だけを切り抜いて練習する「部分的アプローチ」とは反対に、常に状況認識と判断が必要となる状況で練習を行うことが効果的だという考え方です。

    また、つい先日参加してきたオーストラリアサッカー協会主催のコーチングカンファレンスでは、練習での「PDE(Perception:認識 Decison:判断 Execution:実行)」の重要性が繰り返されていました。

    「ホリスティック・アプローチ」の観点では、マーカーを置いてのドリブル練習や、2人組でのパス交換、ワンツーからのシュート練習などは状況認識と判断という要素が抜けているため非合理的な練習ということになります。

    昔ながらのサッカー基礎練習の問題点

    現代のトレーニング方法は論理的に考えられ、多くの点では科学的根拠に基づいて行われています。

    では、なぜ現在のサッカートレーニング方法では「基礎練習」が推奨されていないのでしょう?
    それはいくら基礎練習を積んだところで、ディフェンダーがおり、様々な状況判断が求められる実際のシチュエーションでは活かせないからです。

    これは学生時代に1人で基礎練習を多くこなしてきた個人的な経験からも同意せざるを得ません。
    サッカーの練習で成果がまったく試合で出せないと感じたことのある人は多くいると思いますが、それはサッカーの練習の仕方に問題があることが多いでしょう。
    実際に試合で活かせるようになるには、なるべく試合に近い状況で状況把握と判断を伴う練習を行う必要があります。

    それでもサッカーの基礎練習は必要?

    オーストラリアは練習時間が限られているため、可能な限り効果的な練習を行う必要があるので、私も当初はサッカーの基礎練習は取り入れないようにしていましたが、最近ではサッカーの基礎練習にも時間を割くようにしています。

    その一番の理由は「PDE」のうちの「Execution:実行」の部分(ボールを蹴る動作自体など)に問題を抱えている選手が多いためです。
    もちろん、はじめはホリスティックアプローチの範囲内で「実行」の部分を強調していたのですが、どうしても選手の意識は分散してしまいます。

    では、サッカーの基礎練習が「ホリスティック・アプローチ」より優れている点はどういったことでしょう?

    それは、サッカーボールを蹴ることなどの「動作」だけに集中することができることです。
    現代のサッカートレーニング方法では様々な状況判断が求められる中でパスやドリブルなどの動作を行わなければならず、選手たちはサッカーボールを蹴る動作や、止める動作などのディテールまで考える余裕がありません。

    それに対し、状況判断を必要としないサッカーの基礎練習ではディテールに意識をしないと、選手はとてもつまらない練習だと感じます。逆に言えば、ディテールを意識することができれば基礎練習をつまらないと感じることはありません。
    そして、各動作のディテールを意識することができれば、状況判断が求められる複雑なトレーニングや試合でも技術的なミスをした際に基本動作の確認をすることができるようになります。

    サッカー基礎練習の有効活用方法

    サッカー基礎練習の必要性は上記で述べたとおりですが、同時に、現代のサッカートレーニング理論で言われているように「どれだけサッカー基礎練習をこなしても試合では活かせない」という点に異論はありません。
    また、サッカー基礎練習は各種動作のディテールへの「意識付け」が目的であるため、一昔前のように基礎練習を長時間こなす必要もありません。

    そのため、サッカーの基礎練習は短時間で、一見単純に見える動作のディテールをしっかり意識させ、反復練習はホリスティック・アプローチによるトレーニングの中で行うようにすることで、メインの練習の質も高まり、複雑な判断が求められるサッカーの中においても基礎動作の重要性を選手自身が認識し考えることができるようになると考えています。

    シェアトレにて紹介されている動画の中にも、ホリスティック・アプローチの観点からは有効でないとされるメニューもありますが、なぜあえて違うアプローチをしているのか考えながら見てみると練習で取り入れる際により理解が深まると思います。

    執筆者

    大野元春

    1987年生まれ、千葉県八街市出身。イングランドでコーチングライセンスを取得した後、現在はオーストラリアのナショナルプレミアリーグのMonaro Panthers FCでU18の監督を務める。オーストラリアサッカー協会Bライセンス取得中。http://blog.mottofoot.com
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