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    戦術本は指導の勉強になるのか?


    日本のサッカー関連書籍の種類はイングランドやオーストラリアとは比べ物にならないほど多いです。本屋に行けば、多種多様なサッカー関連書籍があり、特に戦術を解説した書籍は多くの割合を占めています。
    戦術本の中にもヨーロッパのプロライセンス保持者による観戦術や、サッカージャーナリストによるトップ監督の戦術解説まで様々です。
    私も指導の勉強のために今まで数多くの戦術本を読んできました。
    しかし、今となっては「戦術本は指導の勉強にはならない」と考えています。
    戦術とは、読んで字のごとく「戦う術」であり、試合に勝つための戦い方全般を指します。
    そして、以前のコラム『【サッカー戦略編】サッカーにおける戦略の考え方!』(https://www.sharetr-soccer.com/articles/view/17)で説明させていただいたように、戦術というのは戦略の中の一部にになります。
    サッカーにおける戦略(フィロソフィー)というのは指導者にとってのアイデンティティーであり、戦術はそれを具現化したものとも言えるでしょう。(育成年代のコーチではその具現化の方法は異なると思いますが)

    サッカー指導者に必要な戦術観

    サッカー指導者にとって必要な戦術観と、サッカーファンがサッカーを楽しむための戦術観は異なります。
    指導者の戦術観が必要となるのは主に2つの目的です。
    ・自チームのプレーモデル作り
    ・相手チーム分析

    先に述べたように戦術とは指導者のフィロソフィーを具現化したのものです。そのため、フィロソフィーから逆算して導き出されるものになり、その一部だけを他の指導者の戦術から引用するということはできません。もちろん、他のチームのプレーに影響を受け、その結果、自分のフィロソフィーを修正して、他チームの戦術に似ることはありえるでしょう。
    そして、試合の対策を練るために相手チームの分析をする際も戦術観が必要となります。
    この相手チームの分析という点こそ、戦術本の知識が生かされそうなポイントになりますが、実際はどうでしょうか。
    ほとんどの戦術本は客観的な立場で試合を分析しています。しかし、指導者に必要なのは自分のチームが試合をするために必要な情報です。
    チームの戦術によっては、相手が2トップでも3トップでも、3バックでも4バックでも関係ないかもしれません。そもそも、自分のチームのスタイルでは今分析している状況が生まれにくいかもしれません。
    それは、全て自分の戦術観から生み出されたプレーモデルによります。具体的なプレーモデルができれば、どういった情報が必要かは自ずと明確になるでしょう。

    世の中に溢れる戦術本の問題点

    戦術本の問題点についてもう少し具体的に考えてみましょう。
    まず、戦術本というのは大きく分けると2つのタイプに分けることができます。

    ・サッカージャーナリストによる書籍
    ・指導者による書籍

    サッカージャーナリストによる戦術本は、そのタイトルや内容から一見すると指導者の戦術理解にも役立ちそうにも見えてしまいますが、そもそものターゲットが指導者ではなく、サッカーファンを対象にしていることが多いです。
    ジャーナリストが指導の専門家でないからダメだと言うわけではなく、一番の問題はジャーナリストという職業の性質上、サッカーを複雑にし過ぎることです。
    サッカーは他のスポーツに比べてプレーが途切れることが少なく、自由度が高いため全ての局面を想定することが不可能です。
    そのため、一つ一つの局面を切り取って、理由付けをすることにはあまり多くの意味はなく、逆にサッカーを複雑に考え過ぎてしまい、全体像(フィロソフィー)が見えなくなってしまう危険性があります。
    サッカー指導者による指導者向けの戦術本も数多く出版されています。
    指導者にとっての戦術は、チームを勝利に導くための自分のフィロソフィーを具現化するためのものであるはずです。そして、フィロソフィー・戦術というのは指導者のスキルの中でとても大きな割合を占め、結果に直結するものです。
    そのため、執筆時点でしばらく現場から離れていたり、監督として結果を出していない指導者の戦術論は机上の空論であり、参考にするには信頼性に問題があると言えます。
    逆に言えば、滅多にありませんが、現役のトップ監督が自分の戦術を説明した書籍であれば参考になるかもしれません。ただし、それも戦術の全体像を詳しく説明したものではなければれいけません。現役の監督が自ら戦術を説明しているものであれば、戦術そのものが参考になるというよりも、トップ監督の思考回路を理解するためのヒントになるためです。

    今回のコラムの信頼性は?

    誤解しないで頂きたいのは戦術本が悪いと言っているのではなく、指導の勉強にはならないということです。サッカーファンがよりサッカーに興味をもつためのツールとしてはとても重要な役割を果たしています。
    また、指導者ではなくアナリストを目指しているのであれば、多角的な視点で試合を分析するという点では参考になることもあるかもしれません。
    自分自身が「監督として結果を出していない指導者」ですので、私のコラム自体の信頼性も低いと言えるでしょうが、そういった点も踏まえた上で、イチ指導者の考え方として捉えていただき、改めて皆さんが指導の勉強方法を考えるきっかけになれば幸いです。

    執筆者

    大野元春

    1987年生まれ、千葉県八街市出身。イングランドでコーチングライセンスを取得した後、現在はオーストラリアのナショナルプレミアリーグのMonaro Panthers FCでU18の監督を務める。オーストラリアサッカー協会Bライセンス取得中。http://blog.mottofoot.com
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