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戦術理論
サッカーの練習(トレーニング)を熟考して見えてくるものとは
サッカーの練習とは、どうして行うのでしょうか。
サッカーとは、11vs11(少年サッカーでは8vs8、U-13年代では9vs9も)で行われる非常にメジャーなスポーツです。
「みんなでサッカーしようぜ!」ともなれば、例え22人が揃わなくても、2チームに分かれてサッカーをするでしょう。
つまり、サッカーが好きが集まって、サッカーをしようとなった時に、誰もサッカーの練習などしないだろう、ということです。
では、なぜ、練習をするのでしょうか。トレーニングを積み重ねるのでしょうか。
これを読めば、哲学的なところから、実践編まで知ることができます。
サッカーがスポーツであるのは間違いありません。
サッカーは格闘技だ、サッカーは芸術だなどの比喩はありますが、競技者のレベルの程度はあれ、始める、あるいは、のめり込むきっかけはスポーツとして楽しかったからでしょう(観る、支えるという意味のスポーツも当然あります)。
では、どんなスポーツかというと、競争があり、勝敗があります。
もちろん、ルールがあり、自由があります。仲間と協力するチームプレーがあって、決断に連続性が求められます。
どんなスポーツにも競争、勝敗、ルールはあります。
自由と協調性、決断、連続性という部分は、他のスポーツにもありますが、サッカーはその中でも攻守が分かれることがなく、選手自身がピッチ内で決断をして行く割合が多く、他のスポーツよりも自由度が高いスポーツだと言えるのではないでしょうか。
先に述べてきましたように、サッカーが勝敗を競うスポーツである以上、相手がいて、その相手よりも最終的に多くの得点を奪わなくてはならず、反対に相手の得点を阻止しなくてはいけません。
これがサッカーの本質です。
ゴールを目指し、ゴールを奪う。また、ゴールを守り、ボールを奪う。
その為にチームとしての戦術があり、個人の戦術や技術があります。
そして、相手がいる以上、チームとしての戦術理解度、戦術の浸透度、個人の技術力、フィジカル能力などが、相手より上回る方がより勝利に近づくのは言うまでもありません。
何より、自分たちの思い描くサッカーができる方が楽しいに決まっています。
ということはやはり、サッカーの練習、トレーニングは必要だと言うことです。
必ずしも楽勝が良い訳ではありませんが、相手に競り勝つにも、運を引き寄せるなら尚更、練習やトレーニングは重要なものになってくるはずです。
サッカーは自由です。
当然、ルールの範囲内でですが。これも先に述べました。
ただ、サッカーがスポーツである以上、勝敗を競うのは間違いありませんし、勝利に対して全力でプレーするのは当たり前です。相手に対するリスペクトの精神です。
これは勝つために何でもするという勝利至上主義ではありません。
また、勝敗を競うのですから、サッカーのルールで定められている通り、試合終了時点で、相手より1点でも多く得点を挙げていなければいけません。
だから、攻撃ではゴールを奪い、ゴールを目指します。
守備ではゴールを守り、ボールを奪おうとするのです。
これが本質です。
同時に、この本質さえ外していなければ、サッカーは非常に自由度の高いスポーツです。
本質に至る正解は無数にあります。
だから、サッカーは面白いのです。
極端な話ですが、練習をしなくても勝てる相手なら、練習をしなくても良いかも知れません。
冒頭にも記した通り、練習よりもサッカー(ゲーム)がみんなしたいのです。
カテゴリーが上がれば上がるほどそういう訳にはいかなくなってきますが、勝利さえできれば、そういう考え方もあるのです。
事実、トップカテゴリーでも、格下相手ならば、ターンオーバー制を採用し、メンバーを落として挑みます。
それでも勝てると踏んでいるからです。
サッカーの勝利へと至る道が無数にあると言うことは、逆を言うと、練習しなくてはいけないことも無数にあるということです。
今はインターネットで簡単に練習メニューを手に入れることができます。
これらは非常に有益なことですが、オーガナイズ(場の設定)やルール、上辺だけのメソッドだけを真似しても意味がありません。
トレーニングをする選手の力量によっては、その練習の意味を自ら汲み取り、効果は薄いながらも得るものがあるかも知れませんが、大事なのは、『なんのために、その練習をするのか』です。
つまり、トレーニングの哲学です。心と言っても良いでしょう。
それが分かって初めて、『そのためにどんな練習をするのか』に移れます。
あとは、サッカーだけではなく、スポーツ全般にも言えるトレーニングの原則・原理を意識して行えば、サッカーの競技経験がない、あるいは少し乏しい方でも、良い練習をプランニングすることができます。
ここではトレーニングの5原則・3原理を簡単に説明します。
5原則
・全面性(全身をバランスよく鍛える)
・個別性(個人の能力に応じたトレーニングを行う)
・意識性(何のために、どういうことをトレーニングしているのかを意識して行う)
・反復性(トレーニングを続けることで効果を発揮する)
・漸進性(負荷や難易度を徐々にあげて行う)
3原理
・過負荷性(少し困難な程度の負荷をかけて行う)
・可逆性(トレーニングを中断すると、元に戻っていく)
・特異性 (トレーニング方法によって得られる効果が異なる)
以上はよくウエイトトレーニングなどで用いられるかも知れませんが、原則は同じです。
一般的に3原理5原則には含まれませんが、超回復性や適宜性も抑えておくべきでしょう。
自分がやっている練習がこれらに当てはまっているか、確認しながら行うと自分の中の基準が確立されてきます。
育成年代では個別性を重要視してあげてください。
また、特にサッカーの練習のプランニングでや実際の現場では、漸進性や過負荷性、特異性に意識すると良いでしょう。
※特異性の補足(サッカーに置き換えて)
4vs2などのボール回しで、DFのプレッシャーが緩いと、その環境に慣れ、プレッシャーの厳しい中ではボールを回せるようにならない。
サッカーの練習(トレーニング)を大別しても、複数ありますが、ここでは大きく2つにしぼって説明します。
1つ目はドリル形式のトレーニングです。
基礎練習と言っても良いかも知れません。
メリットは反復が容易にでき、多くの選手が同時に練習できます。
最大のデメリットは面白くないということです。サッカーの全体像や楽しみは把握できません。
また、サッカーで必要な判断を伴うことがほとんどありません。
改善策としては、できるだけ判断の要素が入る設定にする、コーチの声掛けで刺激を与える工夫が必要です。
2つ目はゲーム形式のトレーニングです。
これは試合のような形でやるだけではなく、ゴールを2つずつ置いた4ゴールゲーム等もゲーム形式のトレーニングにあたります。
メリットは面白いことです。サッカーができるのですから。
デメリットは獲得したい技術や練習テーマにフォーカスしにくいことです。
改善策としては、ゲーム形式でドリルを行う練習方法を確立することです。
これら2つの形式は指導者の基礎編とも言われるライセンス講習会でも学ぶことができます。
なかなか難しい基準では練習できない、考えられないという場合は、以下を参考にして、気軽に考えてみましょう。
・練習や選手の雰囲気はどうか
・ルールや練習の意図の説明が長くなっていないか
・テンポよく、プレーの時間は確保されているか
・指導者が具体的に誉めているか、あるいは選手同士が誉め合っているか
・選手自身が判断して楽しんでいるか
・選手自身が気付きを持っているか
・そのトレーニングはゲームに結びつくか、どうリンクするのか
・プランニング時の狙いを継続してトレーニングしているか
・選手それぞれにあった声掛けか、負荷なのか、接し方かどうか
・次回もまた練習したいと思う内容だったか
1.サッカーとはどんなスポーツなのか?
=自由の中にも決断に連続性が求められ、仲間と協力してプレーするものです
2.練習する理由とは?=相手よりも上回る力量を身に着け、勝利するためです
3.自由はサッカーの本質の1つ=勝利を目指す道、方法は無数にあります
4.トレーニングのフィロソフィー=何のために練習するのか、心を大切にしましょう
5.トレーニングの原則と原理=5原則3原理を大切にしましょう
6.トレーニングの大別=ドリル形式とゲーム形式を上手に使いましょう
7.トレーニングのチェックリスト=迷ったら立ち返ってみましょう
全てのプレーヤーが練習、トレーニングの原則や原理を知っておく必要はないと思います。
また、育成年代、特にキッズ年代と言われるU-10年代の子どもたちが、何のために練習するのかをいつも意識しているのは、窮屈でサッカー本来の楽しみがなくなってしまいます。
ですが、指導者は知っておかなくてはいけませんし、保護者の方や選手自身も知識として持っておくと、応援やプレーの幅も広がり、余裕が持てるようになるはずです。
執筆者
シェアトレ運営部
シェアトレを運営している筑波大学のメンバーです。日々指導者のために勉強中です
現場で使える指導案はこちらから!
\ 実際に現場で活躍している指導者の方々が作成した1日の練習メニューや指導案を、よりスムーズに確認することが可能になりました! /
先週の練習メニューランキング
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