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技術理論
【サッカー技術編・パス】意外と見落としがちなショートパスの3つのポイント!
普段のサッカーのショートパス練習でみなさんはどんなことを選手たちに意識させて練習していますか?
今回はそんなショートパスの意外と見落としがちな3つのポイントについてオーストラリアのナショナルプレミアリーグ(プロリーグのすぐ下に属するリーグ)のU18で監督をしている大野元春さんに伺いました。
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サッカーの技術で一番多用されるのは「パス」であることに異論はないでしょう。
昨年バルセロナが1試合で993本のパスを成功させてチャンピオンズリーグでの新記録を樹立し、話題になりました。
バルセロナは例外だとしても、プレミアリーグの公式記録によると2017年シーズンのプレミアリーグでは1試合平均で400本以上のパスが記録されています。
また、先日のワールドカップ予選日本対オーストラリアを観てもわかるように、私が現在指導しているオーストラリアでもパスにとても重きを置いており、練習のウォーミングアップでは、ジョギングなどボールを使わない練習の代わりにパス練習を行うよう推奨されています。
パスと一言で言っても状況によって求められるパスは多岐に渡りますが、今日は「ショートパス」に注目してみたいと思います。
では、「ショートパス」で重要なポイントはなんでしょうか?
「正確性」と「ボールスピード」
この2つに関してはシェアトレをご覧の皆さんには説明が不要かと思います。
それ以外はどういったことに注意をすればいいでしょうか?
私の考えるショートパス練習でのポイントは以下の3点になります。
・ボールポジション
・バックスイング
・フォロースルー
1つ目の「ボールポジション」ですが、これはパスをするときにどこにボールを置くのか、ということになります。よく見られるのは、ボールをパスする際、パスする側にボールを動かしてしまうことです。
例えば、右利きの選手がボールを受けて、右サイドにパスをするとしましょう。そうするとボールを自分の右側に動かして、身体をパスする側に向けてからキックをする動作に入るのをよく目にします。
実際、そういった指導をしている方も多いと思います。
しかし、これではボールを右側に動かした時点でディフェンダーに予測されてしまい、ボールを受ける選手へのプレッシャーが厳しくなってしまいます。
これを、ボールを身体の中心に止めて、身体の向きを変えることなく、左足にて右サイドにパスを出せればどうでしょうか?キックをする動作に入る直前までどちらのサイドにプレーをするか予測がつかないので、ディフェンダーの動き出しは遅くなるでしょう。
「相手に予測されやすいならフェイントに使えばいい」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、フェイントのためにターンすることによってチームメイトは、相手のディフェンダーよりも大きなポジション修正が必要となることを忘れないでください。
また、ボールを蹴るサイドに動かす蹴り方は、ボールを受ける前からパスの出し所が決まっていればまだいいのですが、ボールを受けた時点で出し所がなく、味方が遅れてサイドにパスコースを作った際に、ボールを動かさないとパスが出せません。そのためワンテンポ遅れてしまい、パスの受け手はやはりプレッシャーを受けてしまうでしょう。
もちろん、この動作を実践するためには両足でパスを出せる必要がありますが、短い距離のパスに限定すれば習得はそこまで難しいものではありません。
2つ目の「バックスイング」ですが、これは
どれだけ小さなバックスイングでパスが出せるか、ということになります。
基本的にバックスイングを始めた時点で、ディフェンダーはパスコースを予測することができます。
つまりバックスイングにかかる時間が短ければ短いほどパスカットされる危険性や受け手にかかるプレッシャーは減るということです。
私はショートパスの指導をする際に「膝から下でボールを蹴る」と指導しています。
膝をしっかり曲げずにボールを蹴るためには、足を大きく振り上げる必要がありますが、
膝下でボールを蹴る場合は太ももを振らずにボールを蹴ることができます。
脚全体でボールを蹴るのと、膝下で蹴るのとでは、蹴り終わるまでの時間で最大で0.5秒ほど変わってきます。その0.5秒の間にディフェンダーはパスの出る先にプレスをかける準備ができ、やはりパスの受け手にプレッシャーが向いてしまいます。
3つ目の「フォロースルー」ですが、これは次の動作にいかに早く動けるか、ということになります。
パスの出し手は、パスを出し終わった瞬間にパスの受け手に変わります。そのため、自分がパスを出した相手に素早くパスコースを提供する必要があります。「ボールスピード」と「正確性」だけを意識した蹴り方をしているとフリーキックを蹴るような大きなフォロースルーを取るフォームになりがちです。
FKの名手の中村俊輔選手のフォームなら想像しやすいでしょう。そうすると蹴り終わってから動き出すまでに時間がかかってしまいます。
FKのフォームとは言わないまでも、蹴り終わった時に軸足で真っすぐ立っているのをよく目にしますが、見た目は美しいのですが、蹴り終わったあとの動き出しという観点からすると理想的ではないでしょう。
私は、「軸足という概念を忘れる」よう指導しています。ボールの蹴り方を教える時にどうしても「軸足をボールの横に置いて蹴る」と教えてしまいがちですが、ボールの蹴り足に体重を乗せることだけを意識すると軸足を置かなくても、正確で早いボールが蹴ることができるようになり、足の届く範囲も広くなります。また、蹴り足に体重を乗せることにより蹴った後は自然と一歩目を踏み出すことができ、動き出しが圧倒的に早くなります。
一般的なショートパスの蹴り方と違う点もあるかと思いますが、常識にとらわれず、有効だと思うものがあれが是非参考にしてみてください。
みなさんのショートパス練習の質が少しでも向上するお役に立てれば幸いです。
執筆者
大野元春
1987年生まれ、千葉県八街市出身。イングランドでコーチングライセンスを取得した後、現在はオーストラリアのナショナルプレミアリーグのMonaro Panthers FCでU18の監督を務める。オーストラリアサッカー協会Bライセンス取得中。http://blog.mottofoot.com
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