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戦術理論
サッカーのパスを掘り下げて学び、練習や試合、指導に活かそう
サッカーのパスは、サッカーのプレー中にあるアクションの中で、オン・ザ・ボール、オフ・ザ・ボール合わせても、もっとも多いアクションの1つになります。
そのパスを指導者目線で掘り下げて考えることで、サッカーの個人戦術の習得に必要なものが見えてくるはずです。
サッカーの本質は、スポーツである以上勝つことです。もちろん、エンジョイできるスポーツでもありますし、勝つことよりも大事なことはたくさんあります。負けて学ぶことも当然あるでしょう。
ただ、どのような競技レベルであっても、カテゴリーであっても、勝利を目指してプレーするからこそ楽しいし、夢中になれるものです。
であれば、勝利を目指すのは大前提です。
その勝利のために、サッカーでは相手チームよりも多くの得点を奪わなければいけません。
それがサッカーの本質であり、攻撃の局面での最大の目的になります。
ゴールに至る過程はルールの範囲内であれば自由です。
パスサッカーという言葉を耳にしますが、パスは目的ではありません。
また、パスだけでは一生、得点は奪えません。
攻撃の局面を、ゴールから逆算して考えてみましょう。
ゴールを奪うために一番最後のプレーは通常、シュートになります。
そして、シュートを打った時に、高い確率でゴールが奪えるように、相手の守備陣を突破し、できる限り、シュートが決まりやすい場所から打つ必要があります。
その突破や相手ディフェンスの崩しのために、仕掛けが存在します。
何に対して仕掛けて、何を崩すのかというと、相手のディフェンスです。
それもゴール前で整備されたブロックを崩すことになるでしょう。
であれば、そこまで攻撃を組み立て、運ぶ必要もあります。
これらの中で特に運ぶ、組み立てる、崩すところでパスが多用されます。
(もちろん、必ずしもそうではありません。暴論ですが、ドリブルで相手を全員かわせたり、超ロングシュートでGKを破れるなら、パスは不要かも知れません)
その時々の状況や場所、チームで共有している目的に応じて、色々なパスの種類(意図)がありますが、パスの目的は、味方にボールを届けることです。
極端に言えば、どこで蹴ろうが、どんな風に蹴ろうが、ましてや、どんなフォームで蹴っても、味方が次のプレーに移りやすいように意図を込めてボールを送り届けることができれば、パスなのです。
つまり、サッカーにおいてパスとはあくまでも手段でしかありません。
ゴールを奪うという攻撃最大の目的のための手段です。
但し、サッカーはコート(スペース)侵略型のスポーツです。
テニスやバレーボールのようにネットを挟むネット型、また、ベースボール型のスポーツと異なり、相手の直接的な妨害があります。
そこで駆け引きをするために、モーションが小さいアウトサイドやトー(つま先)でのパスがありますし、カーブをかけるためにインフロントでのパスが必要になってきます。
これらキックの種類は道具です。であれば、道具は多い方が良いですね。
中でも試合中に最も多いパスはインサイドでのパスになります。
それゆえに一番初めに教わるパスかも知れませんが、実はインサイドでのパスは蹴りにくいのです。
インサイドキックは、足の股関節を開いて、なおかつ膝関節も曲げて、足首は固定する、という明らかに構造上、動かしにくいフォームでキック動作を行います。
パススピードを上げることが世界と、あるいは世界で戦う上では必須になってきますが、日本人の体の構造では相当の努力が必要です。
その証拠に、サッカーを始めたばかりのキッズ年代に、自由にボールを蹴らしても、インサイドキックをする子どもはいないでしょう。
つま先で蹴るはずです。
U-8やU-10の選手であっても、無理に股関節を開くせいで、軸足があらぬ方向に向いていることがあります。
指導者がインサイドキックを指導する時は、選手個々のレベルに合わせて、段階的に指導して行くことが必要になります。
パスは、ボールを届けるキックのプレーだけでは成立しません。
当然ながら、受け手が存在し、その受け手が次のプレーに移れて、初めてパスが成功したと言えます。
ここで、パスの出し手と受け手で必要なことを整理してみます。
出し手であるパサーは、①方向、②強さ、③タイミングです。
受け手のサポートで大事なことは、①距離、②角度、③タイミングです。
これらの細かい説明は別の機会に譲りますが、読んで分かる通り、双方にタイミングというキーファクターが入っています。
出し手もタイミングを合わさないといけませんし、受け手もタイミングよく受けなければいけません。
では、このタイミングに必要なことはなんでしょうか。
それがパス&コントロールです。何だか輪廻しているようですが。
ここで言うコントロールは、いわゆるトラップやストッピングという止める技術だけではなく、ドリブルしてパスをすることもあるように、全体的なボールコントロールを言います。
パスが悪ければ、例えば、弱い、必要以上に強い、はねている、不要に浮いているなどすると、コントロールが難しくなり、精度が落ちます。
すると、そのコントロールには必要以上に時間や手間がかかります。
そんなコントロールをしている味方を観ても、次の受け手はタイミングを取ることができません。
きちんとコントロールして、きちんとパスを出す。
この繰り返しができるという前提で、初めてタイミングは取れるのです。
そして、それが相手の守備を攻略していく攻撃につながっていき、ドリブルでの攻撃が活きてくる要因にもなるのです。
1、パスは目的ではない=サッカーの本質から考える
2、パスの役割とは=あくまでもゴールから逆算して考えよう
3、パスは手段、キックの種類は道具=手段ということを理解した上で、道具を増やそう
4、インサイドキック=実は難しいキックです
5、受け手と出し手の関係性=タイミングが大切
6、タイミング=パス&コントロールが命
パスのトレーニングで大切なことは、退屈なドリル形式のトレーニングも根気よく続けることです。
日本代表ですら、簡単なオーガナイズのスクエアパスを行っています。
育成年代、また、特にキッズ年代であれば、指導者の工夫を入れて、楽しくパスの基礎練習ができるようにしましょう。
但し、最終的にはサッカーというゲームの中でパスが使えないと意味がありません。
戦術的なトレーニングを導入する場合は、3人以上が良いでしょう。
幅や深み、厚みといった奥行きができます。つまり、トライアングルという図形ですね。
3人目といったコンビネーションも増えます。
ゲームの中で2タッチ以下でのプレーを強いるなど、コンディションゲームという方法もありますが、判断の要素を奪うなどデメリットが多いため、育成年代ではあまりお勧めしません。
やるとしても短い時間で行い、最後は必ず、通常のゲームに戻してあげましょう。
執筆者
シェアトレ運営部
シェアトレを運営している筑波大学のメンバーです。日々指導者のために勉強中です
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